2024.09.07
9月例会「財政学から見る京町家―マクロとミクロの視点から」報告
日 時 :2024年9月7日(土) 14:00~16:00
会 場 :本部
講 師 :後藤和子 (財政学/摂南大学経済学部客員教授)
参加者 :本部 18名、オンライン 8名
京町家友の会の会員でもある後藤先生にご専門である財政学からの視点からお話いただきました。公開されている、または入手可能なさまざまなデータを収集して統計化したたくさんの資料を提示し、具体的な数値や変化を示しながら、丁寧に解説していただきました。近年の京都市の人口、事業所数、税収などの変化とその問題については、私たちが日ごろなんとなく“こうだろう“と思っていたまちの変化を、データに裏付けされた問題として理解することができました。これは今後、私たちが危機感をもって考えるべき問題を明確にしてくれたように思います。
また、京都独自の町家や町並みを守るためには、どういった財源やものの見方・考え方をすれば良いのか、ご提案いただきました。なかでも「京町家が減少する理由が明確になっていない」というご指摘にはハッとしました。居住者の最大の困りごとが「維持・修繕費」であるならばそこへ財源を投入する必要があるなど、優先課題も明らかになりました。補助金だけでなく、実績に基づいた税金軽減も検討すべき、というご提案など、実績に沿った政策の必要性を痛感しました。これまで宿泊税などは観光政策にしか回っておらず、地域に還元する仕組み作りも必要であることがわかりました。