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6月例会「京町家の維持と固定資産税について」報告

日 時 :2024年6月22日(土)14:00~16:00
会 場 :本部
講 師 :辻󠄀本尚子 (税理士/不動産鑑定士)
参加者 :15名

不動産鑑定士で税理士でもある辻󠄀本尚子先生をお招きし、京町家にかかわる税についてお話をお聞きしました。ここ数年、京都市中心部の地価が高騰し、それに伴い固定資産税が大幅に増額されつつあります。京町家を維持管理するうえで、これまで思いもよらない大きな障害となりつつあることから、解決の方策を探ることを目的としています。


辻󠄀本先生からは、税に関する詳細な資料をご用意いただき、お話しいただきました。固定資産税は土地と建物が対象となり、都市計画税も含まれること。土地については住宅の場合の軽減措置があり、建物に対しては、新築住宅、認定長期優良住宅、耐震改修や省エネ改修を行った住宅に対する軽減措置など、様々な措置があること。歴史的建造物については、重要文化財、重要伝統的建造物群保存地区内の家屋は非課税で、その家屋の敷地については適宜減免について、地方で決めることができること。彦根市などでは独自の減免措置を実施しているとのこと、などご説明いただきました。


また、相続時の税に関して、生産緑地地区にある農地は、相続して農業を営む場合に相続税の納税が猶予され、死亡時には免除されるとの規定があるとのことです。これは、町家などの伝統的建築物を相続した場合にも応用できるのではと期待されます。


議論の中では、固定資産税の減免により京町家が守れるのか、どれほどの効果があるのかとの疑問も提起され、税制だけではなく、生活文化、歴史教育、都心居住、ストック活用など、様々な観点からの議論が必要ではないかとの意見も出されました。


今年6月の京都市議会本会議では、京町家の土地の固定資産税の減免等の措置について質疑があるなど、議論が進められているようです。よりよい解決策に向けて、さらに議論を深めていきたいと考えています。